短編小説に描かれた女性の心理

「女心と秋の空」という言葉があります。この言葉は女性の心をとても上手に的確に現したものだと思います。私自身も女心や心理はとても奥が深くて分かりにくいものだと感じています。それは自分に当てはめてもそうですが、同性の友人達を見ていてもとても難解な心を用いていると感じることが少なくありません。
先日ある短編小説を読みました。その作品は浮気をしていた妻がこの世を去り一人残された夫が主人公の話です。亡き妻への思いを持つ夫と運転手の若い女性が車の中で会話しながら物語は進んでゆきます。会話の中で淡々と描かれている主人公の亡き妻への心理がとても興味深く胸に残る物語でした。そしてこの小説は男性作家が書いたものですが、ドライバーや亡き妻の心をとても見事に描いていると思わず絶賛してしまいました。
自分がこうであるべきと思っていても、全く違うことをしてみたくなることがあります。恐らく亡き妻がおこなった浮気とはそういうものなのかもしれません。
この作品ではドライバーが夫に対してとても端的で優しい言葉で亡き妻を擁護するところで完結します。その言葉は女性の心理をとても緻密に現したものでした。この作家の小説への緻密さと優れた洞察力を感じました。

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