極上の読書

子供のとき、チョコレートが大好きでした。板チョコだけでなくビスケットにコーティングしたものも紅茶に合わせて母がおやつに出してくれていました。そうそう、ひなあられの中に混ぜっている『チョコあられ』なんて、それだけを探し出して先に全部食べてしまったものです。だからか、「チョコレートを沢山食べると鼻血が出るよ」と母からよく言われたものです。でも、それは間違いなんだそうです。大人になってからテレビで聞いたように思います。今では誰に叱られるわけでもなく、食べようと思えばいくらでも食べることができるんだけど、ダイエット面から考えると、それは大敵です。食べたくてもやっぱり我慢してしまいます。罪の意識に駆られますしね。だから、ときどき自分へのご褒美のように考えています。一粒一粒が宝石のように美しく造られているちょっと高級なチョコレートを買って来ます。それをトレーに乗せてコーヒーを淹れて、ソファに腰かけたら極上の読書タイムの始まりです。ページをめくりながら、指でつまんでポンと口に一粒運びます。その一口は濃厚でなめらかで、何も考えなくてもいいのです。ただ、無意識にその深い味を確かめている私がいます。文字を追っているのに、思わず鼻歌を歌ってしまいそうになることもあります。ここ最近はそのベストコンビを味わってないなぁ。久しぶりに極上の読書をしましょうか。

This entry was posted in 小説LOVE. Bookmark the permalink.

Comments are closed.